そして勝手に踊りだす

くだまき100年、心は在宅 身体は現場 オタク元気で留守がいい。3度のごはんとコスメが好き/エンタメ中心よろずサークル/デザイン・占いもたまに

突如HUNTER×HUNTER沼に落ちたオタクなりの舞台・殺人の告白の話をするよ

記憶が薄れる前に。

思いっきりネタバレするので、まずサイトを見てみて中身に興味が出たら回れ右してくださいね〜

 

◆殺人の告白とはなんぞや

舞台「殺人の告白」公式サイト

2012年、韓国で公開された映画作品の舞台化。

新鋭チョン・ビョンギル監督が、「殺人の追憶」の題材にもなった華城連続殺人事件からインスピレーションを得て描いたサスペンス作品。

2017年には、日本でも「22年目の告白〜私が殺人犯です」のタイトルでリメイクされている。

とのことです。

(ちなみに、22年目の告白はネトフリやアマプラでも見られるようです。殺人の告白はアマプラにある模様)

 

 

…が、このたびCHEMISTRY 堂珍嘉邦氏・超新星 ユナク氏主演で舞台化されまして、母が堂珍さんのオタクなのでチケットを複数日ぶん購入していたんですね。

母、めちゃくちゃ楽しみにしていたんですけれど諸事情で行けなくなってしまって(コロナとかではないです)、オタクの鉄の掟こと空席絶許のため代理で席を埋めに行ってきたよ、みたいな話です。

 

なので、なんの予備知識もなくスーパー丸腰で観てきた次第なんですけど、ストレートプレイもひさびさに観るし感想くらいは書いといてええかなと。

 

ネタバレをガシガシやってくので、ほんと少しでも見てみよかなって思った人はブラウザ閉じてくださいね…!責任持たないんで……!!!

(追記:読み直してみたら致命的なネタバレは別にしてなかったです)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパー簡単にあらすじをまとめると、10人ほど殺めてるサイコキラー(ユナク)が時効成立直後に自叙伝を出版、世間は大騒ぎ→事件を追ってる+事件の最後の被害者が婚約者である刑事(堂珍)と再会→被害者遺族は水面下で犯人を殺害しようと画策→真犯人を名乗るヤツが出てきて…みたいな感じ。

 

殺人の告白と22年目の告白は起承転結で言えば転と結が結構違うので、どちらかだけ見たって人も楽しめるんじゃないかな〜

 

殺人の告白はスリラー要素が強調されていて率直に言うとわたしの肌には合わなくて、軽い気持ちで見てみた22年目の告白のほうがキャラのディテールが描かれていて気に入ったかな〜、という具合です。

 

韓国エンタメ、特にドラマや映画って昼ドラ的な大味なところを楽しむもののような印象があって(※チャングムとかで時が止まっている人がほざいています)、要は細かいことは気にすんな!って話だとは思うのだけど、わたしは最近ずっとHUNTER×HUNTERを読んでいるので『キャラの!!心情が!!!意図が!!!!!知りたい!!!!!!!』と、2時間の舞台に相当の無理難題を吹っ掛けたのでございました。

 

や、でも、犯人がなんでサイコキラーになってしまったのか、って気になりません?

わたしは金田一少年の事件簿のオタクなので、どうしても犯罪を扱う作品においては圧倒的に犯人が主役と捉えるきらいがあって、舞台の殺人の告白はそこに触れさえしてなくて(映画はわからん)ハチャメチャに消化不良を起こしてしまった〜…教えてよ〜!

 

(納得のいかない犯行理由だとしても)そこに触れてくれていたので、22年目の告白のほうが気に入ったってのはあるかな〜…

 

あ、そうそう、それで、舞台は結構アクションも取り入れていて見応えあるものだったんだけど、最近ずっとHUNTER×HUNTERを読んでいる身なので『いま隠を使わへんから見つかってんで!!!』とか『硬、使いぃや!!!!!』とか『そこは凝や…』とか『ドッキリテクスチャーがあれば…』とか『バンジーガムなら一発やったな…』とか『ヒソカならどうする?』とか思ったり、挙句の果てには話の重さに耐えかねて『堂珍さん!歌え!!!歌ってくれ!!!!!』と願ったり、殺人の告白の熱心なファンの方にはこいつマジで帰れよ…!!!ってブン殴られそうな思念に囚われながら観劇していたのであります。

しょうがないのよ、ヒソカは最強すぎるから……でもさ(?)やっぱり戦いのエンタメ値が爆跳ねするから殺人の告白のみんなも念能力は習得した方がいいと思うな〜!(???)

 

あと、堂珍さんに『歌ってくれ!』と祈ったからか千秋楽の終演後、サンシャイン劇場のロビーにこんなポスターが掲示されておりました、

f:id:coris_pens:20220627021902j:image

へえ!来年2月に堂珍さんとユナク氏がフラグリアってミュージカルをするんですってよ、歌うんや〜ん!やりぃ〜✨✌️✌️☝️☝️✨

 

…それはそうと、ずっと重苦しい舞台は見ていてしんどくて…観劇するときは何かしら前向きな日常へのお土産を持ち帰りたいタイプなので、緊張が続くただただ重たいテーマを提示される2時間(明確な緩和は2時間のうち1度しかなかったのでは)は鉛を飲んだような気持ちで会場をあとにするしかなく…たった1度の緩和のシーンも笑っていいのか分からなくて(会場も笑っていいのか少し戸惑ってたくらいだし/千秋楽はアドリブの応酬で客席が沸いてた)。

ユナク氏が肩の傷口を見せるためにシャツをはだけるシーンで目前のユナク氏オタク2人組が『スッ…』と双眼鏡を取り出し凝視していたシーンを目撃したのがクッションになるほど初回の観劇では消耗していて、あと1回観なくちゃいけないのか〜…と結構しんどかったのも事実。

 

とはいえ、オタク is 空席絶許、オタク are 互助の精神なので本日の千秋楽もしっかり観てきたんですけど、2回目は話の筋を知っているからか余裕を持って観劇できて、自分のなかでストレスのかかるところも分かっていたし、演出や舞台装置で興味のあるところも観察できたりして結構楽しめたような気がするな…!

初回で乗り切れなかったことに申し訳なさを感じたりもしていたんだけど、数日のインターバルの間にコンディションを整えて無事自分なりに消化できてよかった。

 

初回から『なんか知ってんねん、設定の飛ばし具合とこの居心地の悪さ…なんや?』ってモヤモヤしていたんですけど、今日ようやっと『あーーーーーーー!!!!!野島脚本!!!!!!!!!!!!』とアハ体験するほどの余裕を持って観劇できたし(雑念が多いと見るかは微妙なところ)。

 

そうなんですよ、野島伸司氏の脚本のような社会的なテーマを掲げつつ容赦なくコンプラ無視してるような…センセーショナルで惨くて悪趣味な感じをてんこ盛りにしたファンタジーなんすよねぇ…

本当は怖いグリム童話みたいなやつを現代的に作り込んだらこんな感じに収まりそうな。残酷エンタメが好きな人はハマるんじゃないかしら…(まるで人でなしが好むような言い回しになってしまってますが)。

 

野島作品って、めちゃくちゃ嫌な気持ちになるのにズルズルと最後まで見ちゃう、野菜で言えばゴーヤみたいなヤツだと思っているので…わたしはゴーヤが大好きだけど、別にゴーヤ単体でおいしいと思ったことはないし、ゴーヤチャンプルーとおひたしは好きやけど、やっぱり単体でおいしいかと聞かれたらだいぶ疑問。『ん〜、苦いな〜…なんでこんな苦いねん』と思いながら騙し騙し食べてる。好きやけど。

 

その指の隙間から見る感じって言うのかな、演者(具材)とか演出(調理法)で苦味の印象がだいぶ変わるのよな〜、エンタメには飲める鉛と飲めない鉛があって、今回のわたしはなんとかそこまで引き上げてもらえたかな…?!という感じ。

 

舞台についてウルトラ無知なので、観劇をよくする方なら脇を固めている方々が垂涎のキャスティングだったりするのかなと思いつつの鑑賞でもありました。

もちろん、素晴らしいものが繰り広げられている!ということはビシビシ感じるので、すごい!うまい!すごい!って圧倒されるんですけど、それのための語彙がほんとうになくて愕然としているのがいまです。

 

J役の前川泰之さんの苛立ちの演技のバリエーションの細かさとか、ウヌ役の岡田浩暉さんの心に迫る慟哭とか、堂珍さんのスーツ衣装の関節の部分がテカテカになっていてアクションの激しさを改めて知ったりとか、アンサンブルの皆さんの職人としての仕事っぷりに感服したりとか、見どころがめちゃくちゃ多かったんですよ〜…今日が千秋楽だったんですけど、カーテンコールで『もっと大きな場所でもやってみたい』と堂珍座長が野心を覗かせていたので、ぜひ期待したいところ…!それが叶ったらば、母の無念も晴れるので実現してほしい…関係者の方々、スポンサーさま各位何卒〜…!、!!!

 

ここまで『あんま刺さらんかった、どっちかと言うと藤原竜也氏が出てる映画が好きかな』みたいなこと言ってますけど、たぶん口で言うよりかは気に入っているから映画を見てみたし、22年目の告白のよいところは殺人の告白からアクション要素を排して心情や背景描写に尺を割いたところと、藤原竜也氏を起用したところ。

だいぶ偏見があると思うんですけど、たぶん日本人は藤原竜也氏に対してクレバーでサイコな犯罪者…知能犯の印象をめちゃくちゃ持っていると思うし、そんな彼が好きな人も苦手な人も楽しめる作品だな、と感じた次第です。題材に溺れず、チープにならずに走り切っていて見事やな〜!って。

 

いや〜、でもね、だからなんやねん!って話なんですけど、HUNTER×HUNTERを履修中ですべてがFではなくすべてが念になってしまう…冨樫義博作品の脚本の緻密さと、仕掛けの鮮やかさに魅せられたてかつ、冨樫先生の挑戦(かは知らん)を真っ正面に受け止め、展開を予想しまくりながらページを繰る身からすると、わりと『ですよね〜!!!』って筋が読めちゃって、だからこそ人物の掘り下げで攻め入って来てほしかった部分もあったりすんのかな…どうだろうか。

 

観劇に限らず、"人を知る"ということが全てにおいて軸になっていたりするので、やっぱりそこが浅いと自分は興味を削がれてしまうのかもしれん。ほら、人間っておもしろいから…

 

とか、ブツブツ言ってますけど全くの丸腰で観た割にはペラペラよく喋るでしょ。

なんだかんだ楽しかったんだと思います。ゴーヤって言ったでしょ。なんちって。

 

あ、そろそろ日向坂で会いましょうも今週の放送を終える頃なので…それじゃまた。